Vol. 002
今回は、インフルエンザワクチンの予防接種です。
当クリニックでは、11月より接種を始めました。一応予約制とさせて頂いていますが、11月10日頃より予約が急増しています。これは、インフルエンザ治療薬“タミフル”についてのマスコミ報道によると思うのですが・・・。
(この話は後日します。)
来院される方からは
@
ワクチンはうった方がよいの?
A
1回でよいの、それとも2回がよいの?
といった質問が多く寄せられます。
【ワクチンはうった方がよいの?】
インフルエンザウイルス感染症は38度以上の発熱、関節痛、筋肉痛など全身の症状が強く、のどの痛み、鼻汁などの症状も見られます。
普通のかぜとの違い、特徴としては気管支炎、肺炎、小児では熱性けいれんなどを併発し、重症化することが見られます。
私の経験より、インフルエンザウイルスの感染は、体力の消耗がとても激しいのです。その意味では、体力のないお年よりや、小児では重症化する確立が高いと考えられるため接種を行った方がよいと思います。
まれに重篤なショック、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、痙攣もみられます。しかしワクチンの接種を受けないでインフルエンザウイルスにかかった65歳以上の健常な高齢者について、もし接種していたら約45%の発病を阻止し、約80%の死亡を阻止する効果があったと報告されており、ワクチンの接種が有益であると考えられているのです。
【ワクチン接種回数は?】
ワクチンをうつことは、免疫力をつけるのが目的です。
毎年、ワクチンの種類は、国立感染症研究所が検討し厚生労働省により決定されます。(今年はA型の一方が変更になりました。)
つまり今年流行りそうなタイプに対しての免疫力をつけることを目的としているのですね。
そこで、基礎免疫があるかがポイントとなります。
@12歳までの小児に対しては生まれてからインフルエンザウイルスに罹患歴が少ないため基礎免疫がすくないと
判断します。だから2回接種をします。
A13歳以上の方で毎年よくインフルエンザウイルスに羅患する、または予防接種をしているという方は基礎免疫が
あると判断します。こういう方には1回接種を勧めています。ただ2回接種をした方がより抗体価が上昇するという
報告もあります。65歳以上の方については1回の接種でも効果があるとされており、2回接種による免疫の強化に
関する効果(ブースター効果)についての評価は決まっていません。(ちなみに欧米では、幼少児を除いたほとん
どの人がインフルエンザウイルスに対する基礎免疫を獲得していると考え、新型インフルエンザウイルスが出現
しない限り1回の接種で効果があるとしています)
参考になったでしょうか?
にししろクリニック
院長 神谷 雅人